何週間か前に書いた記事で、毎日の英語のインプット量を増やすコツを紹介しました。そのうちの一つは、無理にでも「読む」ということでした。まずはスマートフォンの言語設定を日本語から英語に切り替えるなど、小さなことから始めるのも良いでしょう。ただし、それはすぐにつまらなく、気にも留めないものになるかもしれません。ちょうど、初めて使った時には操作に慣れなかったスマートフォンやタブレットPCを、いつの間にか難なく使いこなしていたのと同じように。さて、その次のステップは「文章」を読むことです。新しい言語を学習しているなら、その言語を使って「読む」ことをするべきなのです。
問題は、一般的に読書をする人が少なくなってきていることです。正直に言いましょう。文書は映像と比較すると、コンテンツを消費するのにはるかに長い時間がかかります。両手を使いますし、100%の注意を向けることを必要とします。このため、他の誰かに読書を勧めるのは心苦しくもあります。私なら、まさにその「同時に他のタスクをこなすことができる」という理由で、新聞を読むよりニュースを聞くことを選ぶからです。時々、耳ではニュースを聞き、目では折り紙の折り方のビデオを見ながら、手では折り紙を折っているなんてこともあります。
そして、問題はそこなのです。マルチタスクをしている間、脳は処理能力の多くをそのタスクに費やしています。日常生活の中でやるべきことを片付ける時には効率的ですが、新しい言語、とりわけ英語を習得して定着させようとするにはあまり良い戦略だとは言えません。
英語には面白い特徴があり、それはスペルに一貫したルールがないということです。この変わった特徴の背景にある理由について言語学的な側面からもっと知りたい方向けに、とても興味深いビデオがありま。この映像の要旨は、イギリスの言語学者ウォルター・ウィリアム・スキートの言葉を借りれば、「ある英単語をどう発音するかは、どこかでそれを耳にしない限り、誰にも分からない」ということです。これは、複数の言語を起源としていること、外国からの影響、印刷機が使われ始めた時代に行われたつづりの改変、当時の印刷業者による不統一や間違いなどの理由によります。
さて、これは逆に考えれば「ある英単語のスペルは、耳で聞くだけで推測できるとは限らない」とも言えます。例えば、"rough"という単語は"ruhf（ラフ）"と読みます。ここで"thorough"という単語を見てみましょう。これは"tho-ruf（ソーラフ）"ではなく、"thur-ow（ソーロウ）"ですよね。しかも、"ough"にはこの2つだけではなく、全部で6つの異なる発音があるのです。こういった一貫性のなさが理由で、英語圏の子供たちは他のヨーロッパ言語を話す子供たちに比べて読み書きを学ぶのに時間がかかるという研究結果さえあります。
英語のスペルはあまりに複雑で、「Spelling bee」という競技にもなっているほどです。これは、学生たちが5万ドルの賞金をかけて語彙力を競うコンテストで、出場者は審査員が伝えた単語を正しくつづる必要があります。Spelling beeは2010年、新聞社のジャパンタイムズによって日本で初めて公式に開催され、日本進出も果たしています。
Spelling beeのチャンピオンたちは、英語力の向上のために何を勧めるでしょうか？とにかく、読んで、読んで、読むことです。頻繁に読むことで、少なくとも一度は単語を目にし、その情報が脳に蓄積され、いざという時に使えるようになるのです。熱心に読み、目的を持って勉強する。少し物忘れが激しい人（わたしがまさにそうです）であれば、さらに頻繁に読みましょう。
それほどたくさん読むので、楽しく読める内容にしてください。これはとても大切なことで、「やらないといけないから」といやいや読むのは時間の無駄なのです。学校や仕事で、ものすごーーーく退屈なテキストを読んだ後、頭に何も残らず、読み直したことはありませんか？あなたは羅列された言葉をざっと眺めただけで、文章の内容はあなたの目と脳の間のどこかで失われてしまっているのです。これは結局、瞳孔の運動にしかなっていないですよね。
話題を自分にとって興味深いものにすることで、脳が既知の事柄を刺激として勉強を続けることができます。大まかな内容を母国語で理解していれば、はるかに少ないエネルギーで外国語で読むことができます。ただの退屈な宿題ではなく、わくわくするものでないといけません！以前、「言語はあらゆるものに浸透している」とお伝えしましたね。私たちは再び言語の特性を利用し、この新しいスキルを身につけるため脳を鍛えようとしています。歌にもあるように、スプーン一杯の砂糖が薬の効き目を増幅させてくれるのです。すでに持っている知識を、読書という新たな習慣の中で活かしてみましょう。それが言語のプロのやり方です！
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