子どもが言語を身に付ける道筋を真似ることはできるか?

by Gareth, June 14, 2020

2018年の終わり、残念なことですが、私と家族はフランスで新たな生活を始めるため日本を去りました。娘は3歳で、生後8ヶ月の時から長久手市の保育所に通っていました。その結果、彼女がコミュニケーションの上で使う主な言語は、その時点では日本語だったと言えます。フランスに来てから、彼女は新しい言語を一から学ばなければなりませんでしたが、それにも関わらず、たった1年余りでそれを概ね達成してしまったのです。その過程は信じられないほどのスピードでした。大人がよく言うように「子どもの脳はスポンジのよう。私たち大人には決して真似できない」と言ってしまうのは簡単です。もちろん、子どもたちが言語を容易に身に付けるためのメカニズムはいくつか存在します。しかし彼らが本能的に行ういくつかのことを真似ることで、私たち大人も年齢に関係なく、言語を習得する能力を向上させることができると考えています。彼女がフランス語を習得していく様子を見ているうちに気付いたことが2つあります。

一つ目のポイントは、彼女が同じ言葉を口にする頻度です。二つ目は、言語の不完全さと誤りの多さ、そして彼女はそれらをまったく気に留めていないということです。

この記事では、一つ目の点に焦点を当てていきたいと思います。素晴らしいテクノロジーを用い、この「Constant Repetition(絶え間ない反復)」を言語学習の方法として真似る方法をいくつか考えます。

私は、いかに私たち大人が新しい単語を覚えることを甘く見ているかに気が付きました。例えばレッスンで知らない単語を耳にする。その後、家でもう一度復習をすれば、この単語は魔法のように頭に残るはずだと考えるのです。生徒さんたちはよく、数週間前のレッスンで学んだ単語を忘れてしまっていることを謝ります。調査したところ、彼らはせいぜい1回の復習しかしていませんでした。これは私の娘が行っていることからはほど遠く、子どもたちが言語を学ぶ際に用いる記憶構築の形式には沿っていないと考えられます。また、子どもたちが行っているのは筋肉のトレーニングでもあります。新しい単語を口に出し、正しく発音するためには、口と舌をコンスタントにトレーニングすることが必要なのです。

さて、問題は、忙しい大人が、子どもたちがしているこの反復をどのように真似できるかということです。今日は、多くの人々の言語学習において大きな効果を上げてきたツールをみなさんに共有します。ただし、これは記憶を助けるツールなので、多くの情報を学び、記憶することを必要とする学習であれば、どんなものにも適用できます。医療試験のための勉強に使っていた医師の方も何人かいました。

このツールは「Anki」と呼ばれるアプリで、これは日本語の「暗記」から来ています。オーストラリア人のDamien Elmes氏が東京に住んでいた時に開発したもので、Spaced Repetition(間隔を空けた反復)の概念を用いたSupermemo(超記憶)アルゴリズムに基づいています。Spaced Repetitionについては、こちらで英語)、またはこちらから日本語で読むことができます。この記事は、Spaced Repetitionの仕組みやアルゴリズムについてではなく、Ankiを使用して、翻訳のステップを含めず、単語や学習言語をより頻繁に繰り返す方法について書いていきます。これは子供たちが言語を学ぶ方法に少し近く、毎日使用することで、新しい単語やフレーズ、質問を覚えたり、一つ一つの知識をつなぎ合わせるのに非常に役に立ちます。

無料のWindows版・Mac版は、こちらからからダウンロード&インストールできます。Ankiの日本語マニュアルは非常に広い範囲をカバーしており、インストール方法やAnkiアカウントの設定方法、デスクトップ版とモバイル版の両方を使用する場合にスマートフォンと同期する方法などを参照できます。無料のAndroid版は「Ankidroid」という名前で、Androidスマートフォンをお持ちであれば、Google Playストアで見つけることができます。またはこちらのリンクからもダウンロード可能です。iPhone版は無料ではありません。私はこのバージョンをお金を払って購入しました。英語のテキストと同じくらいの値段ですが、10年間ほとんど毎日使用しているので、十分にその価値があると思います。同時にこのような素晴らしいソフトウェアの開発者にお金を払うことができ、嬉しくも思います。こちらはApp Storeで見つけることができます。またはこちらのリンクからもダウンロードできます。

Ankiは基本的に、紙の単語カードと非常によく似たシステムです。日本に住んでいた時、高校生が電車内で使っているのをよく見ました。Ankiのカードには、最もシンプルな形だと質問と回答が書かれており、回答は覚えようとしている単語、フレーズ、またはその他記憶したいものです。このアルゴリズムは脳科学に基づいており、単語カードよりも効果的かつ効率的に反復を行うのに役立ちます。

Ankiの存在を知りその使い方を学ぶと、世界中の誰かが作った、誰もが使えるダウンロード可能なカードデッキがあることにすぐに気が付くでしょう。これらは有用ではありますが、私の経験から言うと、Ankiを使用する一番良い方法ではありません。あなたが自身で行っているレッスンやリーディング、その他の学習を元にして、時間をかけて自分でカードを作成することをおすすめします。こうすることで、それぞれのカードはあなた個人にとって遥かに意味のあるものになり、そしてそれは学習プロセス・記憶プロセスにおいて欠かせないことでもあります。できれば避けたいことの二つ目は、学習言語に加え、母国語での翻訳を使ってカードを作成することです。これは時には避けられないことではありますが、私の過去の2つの投稿、本当の意味で英語を学べていますか?外国語をすぐに翻訳してしまうのをやめてみませんかのテーマであるように、私にとってはなるべく使わない最後の手段です。そこで今回は、翻訳を使わずにカードを作る方法をいくつか紹介したいと思います。

1. 画像を質問として使う
Google画像検索を使えば、画像を驚くほど簡単に見つけることができます。また、時間があれば、自分のスマートフォンで写真を撮って使うこともできます。Google画像検索を使う場合、ブラウザからデスクトップ版のAnkiの質問フィールドに画像をドラッグするだけです。そうすると、画像が質問として表示されます。この場合は富士山が絵で、答えとなる単語は「Dormant Volcano(休火山)」です。覚えやすいように例文も書きました。翻訳も日本語もまったく使っていないですよね。

<豆知識>Ankiには多くの素晴らしいアドオンがあります。私がフランス語の学習でよく使う(フランス語の発音が難しいため)アドオンはAwesome Text to Speechと言い、テキストを音声で読み上げてくれます。このおかげで復習をする際、単語を聞き、音読することができるようになり、とても良いです。これを使うと単語の後ろに.mpgファイルが表示されるようになります。

2. 音を使う
画像ではなく音声ファイルを質問に添付することもできます。Freesoundは、音声を探して無料でダウンロードし、質問カードに添付するのに最適なWebサービスです。

3.学習中の言語で書かれた質問と回答を使う
私が知っている中には答えを思い出すのに役立つちょっとした質問を作りたい方もいます。

4.意味の通る穴埋め問題を自分で作ったり、
クラスで聞いたり本で読んだ、映画で聞いた文章をそのまま使ってみるのも良いでしょう。

5. 前回の投稿でお話したように対訳辞典(英和辞典など)ではなく、学習している言語の辞書(英英辞典など)で単語を探します。
すると、調べた単語の意味をそのまま質問として使うことができます。単語を学習したという意味で、辞書に載っている例文の1つを含めると役に立つことが多いです。

「smart」の定義にはケンブリッジ英英辞典hereを使用しました。

6. イディオムやフレーズ
は翻訳をやめるのが特に難しいですが、私がやっている方法の一つは、イディオムの内のいくつかの単語を表示しつつ穴埋め問題を作ることです。こうすることでイディオム全体を覚えることができます。また、イディオムの意味も書いて、それがどうやって使われるのかを思い出しやすくしました。

Ankiをクリエイティブに使う方法は他にもたくさんありますが、翻訳を避けながら質問作成をする6つの方法を上記で紹介しました。また、静かな場所を見つけたら、Ankiを使って学習しながらカードの内容を大きな声で読み上げることも役に立つでしょう。

Ankiの使用について分かった最も大事な2つのことは以下です。毎日使うこと。1日あたり数分やるだけでも、単語を覚えたり使う能力に大きな影響を与えます。毎日使うようにするため、負荷を掛けすぎないこと。1日に5枚新しくカードを作るのが理想です。覚えておいてほしいのは、カードの数は徐々に積み重なり、増えていくということです。追加する数が多すぎると、反復学習を行うのに1日あたり10〜20分ではなく、1時間程度掛かったりします。そうすると、時間が足りず反復を行わなくなり、学習の効果を失ってしまいます。

以上、こちらの記事がお役に立てば幸いです。既にAnkiを使っている場合は、上記のテクニックを使って翻訳を避けつつ、毎日反復学習してみてください。1か月後に突然、会話の中で魔法のように言葉やフレーズが口から出てきます。また、ネイティブスピーカーや言語を自然に学ぶ子供のように、覚えた内容を忘れることもありません。頑張ってくださいね。

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